† 現物分割・換価分割・代償分割等~具体的な遺産の分け方は?

¶ 遺産分割の方法には、指定分割、協議分割、調停・審判分割がある。

 遺産相続で相続人が二人以上いる場合、遺された遺産の個々の財産を、それぞれだれが受け継ぐかを決めなければなりません。

 この遺産分割を行なうにあたり、まず、遺言書が残っていれば、書かれた内容に従って財産を分けます。これを指定分割といいます。

 遺言書がのこされていれば、話し合いで決めることになります。これを協議分割といいます。遺言書が合った場合でも、相続人全員が同意すれば、協議分割をすることができます。協議分割では、相続人全員が一致すればどのように遺産を分割してもかまいません。もちろん、法定相続分に従って分割してもかまいません。

 話し合いがこじれて、どうしても協議がまとまらない場合には、家庭裁判所による調停・審判分割という方法もあります。なお、新たに相続人があらわれると、それ以前の分割は無効となります。胎児や認知請求中の子ども、離婚無効訴訟中の元配偶者、行方不明人などがいる場合、分割はそれらの問題の決着後になります。

 

¶ 具体的には、現物分割、換価分割、代償分割、共有がある。

 遺産をどのように分けるかということについても、様々な方法があります。

 まず、「家と土地はAに、株式はBに、預貯金はCに」というように、現にある個々の財産の価値に極端な差があったり、財産の種類が少なすぎたりして、うまく割り振ることができない場合には、遺産の全部または一部を売却し、その代金を各相続人の相続分に応じて配分する方法もあります。これを換価分割といいます。

 農地や事業用資産などが主な遺産で、遺産の全部または大部分を事業後継者などの特定の人間に受け継がせることが必要な場合など、遺産が細分化されては困るときには代償分割という方法をとります。これは、ほかの相続人より遺産を多く取得した人が、自分が所有する財産や金銭などを、ほかの相続人に与えることで相続分を調整する方法です。

 このほか、分割しないで共有にするという方法もあります。これは、遺産を相続人が共有で使用する場合や、現物分割できない場合、あるいは相続後に売却する予定がある場合などに利用する方法です。